(カナダ)でサステナブルな暮らし

カナダのど田舎へ移住し、手付かずの自然を前にようやく環境問題への意識が芽生えた30代主婦が 地球も自分も健康的でミニマルな生活を目指すブログです。

自分の現在地をどの地図で捉えるのか

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11月11日カナダはRememberance Dayという戦没者追悼の日です。

第一次世界大戦の休戦協定が結ばれた日でもあるようで、名前は違えどアメリカやヨーロッパでも祝日になっている国があるそうです。
 
これまで日本でも終戦記念日を何度も迎えているし、カナダに来てこのRemembrance Dayを迎えるのも7回目な訳ですが
これまで戦争は昔起きた過ちであって、それを繰り返さないように…そして忘れないようにするために祝日があると思っていました。
 
間違ってはいないと思うのですが、なんというかやっぱりどこか他人事というか、遠いところで起きている話という感覚がどうしてもありました。
しかし今は2つの地域で戦争が起きている状態で
(その他各地で起きている紛争もある事は分かっていますが無学なのでメンションできません。)
そんな中ウクライナから避難してきた同僚に出会ったことで
少し身近に感じるようになったというか、私なりに色々考えるきっかけになったので今日はその事について書きたいなと思います。
 
 
 
 
私の職場は車やボートの内装(主にシートカバー)やボートを保管、移動する時に使うカバーをオーダーメイドで作るところなので、大まかに言うと縫い子とインストーラーに持ち場が分かれています。
 
ウクライナでも車のシートを作るような工場や工房が多いのか、今年に入って縫い子として応募してきた人が数名いました。
そして今採用されている女性も経験者で、夫がインストーラーで自分たちのお店を持っていたっぽいです。
 
そんな彼女、ほとんど英語ができません。
ポンコツな私から見ても、移住当時の私よりも苦労してるんじゃないかなと思うくらいに。
それでも面接には1人できて、携帯の翻訳機能を使いながら実技試験も受けていました。
しかもその時はまだカナダに来て1、2ヶ月のタイミングだったと思います。
 
もう本当にそのたくましさには尊敬しかありません。
私もカナダに来てすぐに仕事を始めましたが、紹介なので応募もしていなければ面接は夫も一緒でした。
カナダに来る前にはセブにプチ留学していましたし、身についたかどうかは別にしても自分でカナダに行くとタイミングも含めて決めているので
日本で勉強する期間も事前にあったわけですから、もう全く比にならないですよね。
 
 
ある時職場のオーナーが、遊びに来た友人に彼女はウクライナから来たんだよ〜と紹介していました。
彼女も、2ヶ月前に来ましたみたいなことを言っていてその友人は彼女に、Good for you!と返答していました。
会話の流れ的に、カナダに来られてよかったね!と言う意味だと解釈したのですが
それが私の思考を深めるきっかけを与えてくれました。
 
彼女にとってカナダ移住は本当にGoodな事なんだろうか?
もちろんウクライナにいるよりは、安全な環境に身を置けてGoodなのかもしれないけど
両親や兄妹家族はウクライナに残っていて、男兄弟は戦地に行っていたりもするみたいだし
きっと罪悪感みたいなものや、家族を心配する気持ちを持ち合わせた状態で日々暮らしているんじゃないのかな?
しかも不慣れな英語で生活しなければいけないのって結構ストレスですよね。
 
 
そして、親ガチャならぬ国ガチャで人は生まれてくる国を選べません。
たまたまウクライナ人として生まれた彼女と、日本人として生まれた私。
いざとなれば日本に帰る選択肢がまだ今のところはある私だけど、彼女はどうなんだろう。
 
 
彼女をただただ被害者として、”かわいそうな存在”として見るのは違うと思うしそういうつもりはないのだけど
同じ時代に生きているのにこんなにも状況の違いがあるのか、とよく思ってしまいます。
 
ある日私は、朝から憂鬱でした。
なぜなら日本にいる友人から、結婚式参列のお誘いを受けたから。
かなり余裕を持って事前に連絡をしてくれていたけど、それでも今の経済状況だと厳しくて
お断りせざるを得ない状態が情けないし、申し訳なかったのです。
 
その日の休憩時間、ウクライナの彼女が徐にある写真を見せてくれました。
彼女が住んでいた地域ではないようですが、その日に攻撃を受けたウクライナの街の様子でした。
彼女はその日もいつも通りに働いていたし、写真を見せてくれた時も特段落ち込んでいるとか怒りに満ちているとか
そんな様子は感じられなくて、普通に休憩時間にバズっている動画を見せ合うみたいな雰囲気ではありました。
 
でもそれは周りに気を遣ってのことだったのかもしれないし、単に英語で表現できなかっただけなのかもしれません。
同じ部屋でミシンを走らせながら、私と彼女の頭の中にあるものの違いに、なんて世界なんだろう…と思ってしまいました。
 
 
彼女は我が家と同じ子なし夫婦で、今は旦那さんも同じ職場でインストーラーとして働いています。
週末は一緒にジムのプールに行くようで、毎週違う地域のレクセンターを回っていると話てくれました。
我が家以上に常に一緒な夫婦に初めて出会ったかも!?
 
旦那さんが入社する前に彼女の誕生日があったのですが、ウクライナも誕生日は自分でお祝いするスタイルのようで
バス通勤なのに自ら大きなホールケーキを持参して出勤してきました。
こちらのランチタイムを見計らって、ウクライナにいるお姉さん家族からテレビ電話がありかわいい姪っ子の歌声が漏れ聞こえてきました。
 
初めて行ったアジアンスーパーでMochiを食べたよと教えてくれたり、カナダ生活を楽しんでいる様子を垣間見ると
勝手に少し安心してしまいます。
 
 
旦那さんの話によると、現在国土の20%が戦地になっているけど、80%は通常の生活に近い暮らしができているのだとか。
姪っ子の入学式のような写真を見せてもらった時、学校に行ける状況だなんて全く想像していなかったので驚きました。
 
今はまだお互い英語での深いコミュニケーションが難しいので、誤解を生んだり嫌な気持ちにさせてしまったら嫌なのでできませんが
いつかどんな思いでカナダ移住を決意したのか聞いてみたいなと思っています。
 
自分が想像しているような感じかそれよりもディープな感情を持ってここにいるのか
むしろもっとライトな感覚で、カナダこれてラッキー!みたいな感じなのか。
聞いたところで全ウクライナ人もしくは避難民が同じ感覚ではないだろうし、理解できるかもわからないけど。
 
 
 
世界ではとんでもないことが多発していて、その1つ1つ全てを把握したり思いを馳せる事は正直無理だと思います。
少なくとも私の人生では。
でも、だからって知らなくても良い、声をあげなくても良いと言うわけでもないことも分かっていて
現代を生きるのは大変だなとしみじみ思います。
 
焦点を定めるバランス感覚というか、自分の人生を俯瞰する解像度というか
本当に難しいですよね。
 
それでもきっとカナダに住んでいたから、彼女との出会いがあって考えるきっかけを持てたので
こういうきっかけに感謝しつつ、日本に住む誰かが(いや日本に限らずですね)これを読んで何かを感じたり考えるきっかけになれたら素敵な循環だなと思います。
 
 
 

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